
3.11東日本大震災の記憶
間もなく東日本大震災から2年が過ぎようとしています。
幸いにも我が家は直接的な津波被害はなかったのですが、大川小学校出身の主人は実家も両親のお墓も流され、津波による残酷な姿をつきつけられました。
私が被災地にはじめて出向いたのは3月下旬。
準備できる支援物資は極限られたものでしたがまずは『何が食べたいのだろう?』でした。
春のきざしを感じるお漬物が喜ばれるのでは?!
通常ならありえないシンプルな即席漬けを作り、ガソリンに灯油、乾電池に下着類などと持参しました。
殺伐としたモノトーンの風景の中に暮らす人々は、被災者とは思えない満面の笑みを浮かべで喜んでくれた事を覚えています。
「こういうのが食べたかったの…」
「私たちが食べたかったものよくわかったね♪」
その時に言葉を交わした方々が落ち着きを取り戻してからも尚言われ続けている言葉です。
春キャベツの即席漬けは、荒れ果てた被災地で『忘れられている季節感』と『失われた日常』を取り戻そうとしている人々にパワーを授けているかのようでした。
材料(作りやすい分量)
・キャベツ 1/2個(400g前後)・きゅうり 2本(150g)
・人参(小) 1本(50g)
・旨塩 15g … 材料の2.5%
※ 我が家の春漬けは、新玉ねぎのスライスが定番出入り、蕪やセロリなども
入れてバリエイションを楽しんでいます。
準備
1.キャベツは1枚1枚丁寧にはがし、水洗いしてから水を切り、葉の中心にある硬い筋部分は取り除いてざっくりと手でちぎる。
2.きゅうりも水洗いして水分を取り除き、5oほどの斜め切り
3.人参は皮をむいて細めの短冊切りにしておきましょう。
作り方
@ 準備した材料を大き目のボールに入れてざっくり混ぜ合わせたら分量の塩を全体にまんべんなく振り掌でよ〜く混ぜ合わせているとキャベツが
しんなりしてきます。
A 出てきた水分もすべて即席漬けの容器に移し、重石をして半日くらいで
食べごろです。
【あとがき】

気が付くと、『実家が流された』とか『兄弟がダメかもしれない』などの情報に翻弄され、1日に幾度となく涙を流していたように思います。やっとの思いで兄弟の安否が確認できたのが震災後2週間目くらいの時だったでしょうか。すぐにでも飛んでいきたかったものの、北上川河口の道路が寸断されて、通行止め。県庁に問い合わせ、道路の復旧と最適ルートの情報を得た3月31日。生活に必要な最低限の物資を調達して義兄弟の所に足を運んだ時は、まだまだライフラインが整わない頃でした。

救援物資が届き、芸能人の被災地支援でカレーやとん汁、カップ麺が振る舞われ始めているとの情報が入り始めた頃でしたので、きっとお浸しや浅漬けが食べたいだろう!!
という考えでチョイスした『春キャベツの即席漬け』は大成功でした。
いつ、いかなる時も冷静に情報を収集し、相手の立場になって考える事の大切さを実感したものです。
私はこれから先もずっとこの時の出来事を忘れずに、ささやかながら沿岸沿いの復旧&復興のお手伝いをしていきたいと思うのでした。