フライパンで手軽に作る『鰹のたたき』(食材王国みやぎ7月の地産地消メニュー)
「鰹」は、みやぎに産まれ育った私にとって欠かせない初夏から秋にかけてのご馳走。
我が家ではいつもお刺身で食べるのが定番でしたが、大人になって「鰹のたたき」なるものを居酒屋さんで食べた時には「へぇ〜こんな食べ方もあるのね〜」なんて妙に感心した記憶があります。
稲藁で香ばしく焼き目をつけたものが有名ですが、それは高知県に旅行した時のお楽しみに取っておいて(笑)、どこのおうちにもあるフライパンで簡単に作っちゃいましょう。
これならIHの方でも香ばしい薫りもご馳走の出来たて「鰹のたたき」が頂けますよ〜。
薬味をたっぷり添えれば食欲の無い季節でもじゃんじゃん食べられます。
是非お試しあれ〜♫
◇合わせ薬味
冷蔵庫で3〜4日は充分に持ちます。毎日のお味噌汁はもちろん、冷奴、お蕎麦、そうめんなどにも大活躍。
この薬味にかつお節を振りかけお醤油をちょっとたらして混ぜれば食欲のないときもご飯が美味しく食べられます。お試しくださいね。
材料(作りやすい分量)
・しその葉 10枚・ショウガ 1片(親指大)
・みょうが 1パック(3本程度)
・小ネギ 一束
・かいわれ大根 1パック
作り方
1.しその葉とみょうが(芯は取り除く)は縦半分に切ってから繊維を絶つように細切り、ショウガは皮をむいてみじん切り、小ネギは小口切り、
かいわれ大根は3〜4等分に切って大きめのボウルに入れ、たっぷりの水に
10〜15分ほど浸け灰汁を抜く。
2.灰汁が抜けたら細かめのザルに上げしっかりと水気を切る。
3.大きめの密閉容器にペーパータオルを2重にして敷き、水気を切った合わせ
薬味を入れて冷蔵庫で冷やしておく。
◇鰹のたたき
材料(4〜5人分)
・鰹 2柵(半身でよい)・塩 少々
・サラダ油 少々
・ポン酢 適量
・新玉ネギ 1/2個
作り方
1.鰹は流水で軽く洗って水気をしっかり拭き取る。2.@をバットなどに並べ全体に塩を軽く振り、ラップをして冷蔵庫に入れ
20分ほど置く。
3.鰹から水気が出てくるのでペーパータオルでしっかりふき取っておく。
4.フライパンを中火にかけ、鰹がくっ付かない程度に薄くサラダ油をひき、
皮目から表面に軽く焦げ目を付け、全体に焼き目がついたらたっぷりの
氷水に浸けて焼き進むのを止め、直ぐ引き上げてペーパータオルで水気を
拭き取る。
5.新玉ネギは縦にスライスして器に敷き、食べやすい大きさに切った
鰹のたたきを並べ、たっぷりと合わせ薬味を乗せてできあがり。
* お好きな方はニンニクのスライスを添えても美味しいです。
* ポン酢に「かぼす」や「すだち」を搾るとよりフルーティーでさっぱりと
頂けますよ。
* 見た目も華やかなのでおもてなしにもお勧めです。
【みやぎの鰹】
2011年3月11日の東日本大震災で鰹の水揚日本一を続けてきた気仙沼は、大津波の被害に加えオイルタンクの重油が流れ出しまさに火の海と化しました。
そんな凄まじい現実でも、ひたすら6月の鰹の水揚再開を目指し全力で復旧に努めました。多くの鰹漁船の皆様のご協力のおかげで水揚高は減少したものの、昨年も生鰹の水揚日本一になりました。
正直まだまだ復興には遠い道のりですが、前を向いて頑張っている皆さんの力になれるよう、たくさん食べて応援したいと思います。
そしていよいよ今年も待ちに待った鰹シーズンの到来です。気仙沼に続き石巻や塩竃でも水揚されるようになり、水産県みやぎも少しずつ活気を取り戻しています。
【鰹の生態】
鰹はサバ科に属する回遊魚。
お腹に縞々が見えますが、これは死んでから現れるもので生きて回遊している時には、はっきりとした縞模様は見えないのだそうです。
鮪と同様に寝ている時ですら、大量の酸素を摂取するために大きな口を開けて泳ぎ続ける魚です。
全世界の暖海に分布していますが、大洋の中央部には回遊しないそうです。
日本近海には黒潮に乗って回遊し夏には北海道まで達することもありますが、日本海側にはあまり回遊しないとのことです。
秋になって南下し三陸沖で捕れる戻り鰹は脂が乗って濃厚な味わいです。(小学館 食材図典より抜粋)
鰹は何といっても鮮度が命。鯖などと同様に傷みやすい魚でもありますので、なるべく回転のよいお店で購入しましょう。
鮪ほど透明感はありませんが赤い色見ならGood。赤黒くくすんでしまったものは鮮度が落ちていますのでご注意ください。
【栄養満点】
初夏から秋にかけて水揚される鰹ですが、この季節に摂ってもらいたい栄養がたっぷり! 脂質は背側が特に少なく蛋白質が豊富ですから、高蛋白低カロリーという理想的なお魚。
秋の戻り鰹になると脂は乗ってきますが、この季節はライトな味わいですので食欲のない時にもお勧めです。
血合いの部分にはビタミンB1、B2、B12や鉄分が含まれるサプリメントのような食材ですので、身体が暑さに慣れていないこの季節はもちろん、夏バテや貧血にもお勧めの頼れるお魚です。
鰹は臭みがあって苦手と言う方もいらっしゃいますが、きちんと下処理をすれば臭みを感じることはありませんので、ご紹介のレシピを参考にぜひ作ってみてね。
【あとがき】
子供の頃近所にスーパーが無かったお話は度々していますが(笑)、この「鰹」にも懐かしい思い出があるのです。
実家の近所には週に1回か2週に1回、移動販売の魚屋さんが来ていました。
夏場の魚屋さんは豪快そのもの。鰹の半身を片手に現れ瞬く間に「お刺身」に仕立ててくれましたっけ・・・。
なにしろ子供でしたから、尾を持って鰹半身を見せられたらそりゃびっくりするでしょう!?
そしてお刺身になった鰹は、どこに行ったのか???
冷蔵庫のない我が家では、井戸のつるべにかごを付けてその中に皿ごと乗せて井戸の水際につるしていたのです。ハエも来ないし地上よりも気温が低いので一石二鳥だったらしい。
なるほど人間は工夫する生き物なのね。
その時の光景は鰹の季節になると必ず蘇って来るんです。今となっては誰も信じてくれませんが、私の遠い昭和時代の物語です(笑)