
シーン
父が丹精に育てた大輪の菊の花が、今年も見事に咲いた。庭を臨む和室に、両親と夫と私が揃う。
黒と黄はだ色のクロスをダブルに掛けた食卓で、会席風の料理を戴く。
両親の長寿を祈り、お料理「ほし」のご店主が調製してくださった。
菊花皿に向付を盛る。
壮健な両親を祝い、猪口は「福」の文字入りを用いた。
椀盛の蕪は、高貴な菊花の風情を漂わせている。
花びらを浮かべた菊酒を酌みつつ、重陽の節句を楽しむ。
父が謡う「菊慈童」の調べの中、観菊の宴は続く。
〇 重陽の節句についてはこちら
お献立
○椀盛 菊蕪 海老糝薯射込み 薄葛仕立て菊花 軸三ツ葉
○向付 鯛松皮造り
車海老の造り
紅白よりけん 菊花 山葵
○焼物 魳魳幽庵焼 両褄折り
銀杏松葉打ち 蓮根黄身ずし射込み
○酢物 五色のきぬた巻 敷黄味酢
人参 大根 胡瓜 薄焼き卵 もってのほか/おもいのほか(菊花)
○御飯 栗ごはん
栗 本しめじ 舞茸
○菊花酒


↑作り方 ↑作り方
延命長寿を願って
重陽の節句のTableは、食のスペシャリストで、日本の五節句を表現しはじめた紀子先生の2つ目の作品です。これまでの撮影してきたいくつかの作品にも増してしっとりと作り上げられていくTableと紀子先生の姿を拝見しながら、私はそこに凛とした温かい心を感じていました。
ご自身の健康に感謝しつつ、遠くに過ごすお母様や伯母様を想う気持ちが溢れんばかりに表現されているように思えてなりません。
ひとつひとつのお道具に心を吹き込む姿から、私自身忙しい日常を過ごすうちに忘れそうになる「感謝の心」と「思いやる気持ち」この原点に立ち戻る学びのチャンスを与えて頂いているようです。
『向日葵ママの撮影記』


