2012年01月05日

合格祈願と震災復興の祈りを込めたお弁当

オクトパス弁当
競り勝つ&置くとパス弁当(食材王国みやぎ1月の地産地消メニュー)

 2012年がスタートしました。
年明けと共に本格的な受験シーズンの到来です。

震災の影響で学習環境が整わない中、必死に勉強してきた方もたくさんいらっしゃることでしょう。
焦る気持ちもあるでしょうが、まずは心を整えて落ち着くことが肝心です。

 子どもたちが頑張っている姿を見ると、神頼みはもちろんのこと、縁起のいい語呂合わせでもなんでも取り入れたくなるのが親心。
そんな思いを込めて「合格祈願弁当」を作りました。

みやぎの冬の風物詩でもある「せり」を軟らかな豚肉で巻いた「カツ」は「競り勝つ」ように・・・。
タコは英語で「オクトパス」といいますから、志津川産のタコを「タコ飯」にしてたくさん詰めて「置くとパス」するように・・・。
二つ合わせて「ライバルに競り勝って、置くとパスするお弁当」というわけです。

 我ながらクスッと笑える語呂合わせ♪
張り詰めた緊張を解きほぐす為にも洒落は必要ですよね。
クスッと笑ってふっと肩の力が抜けた時、実力を発揮できると信じています。
どうか桜咲く春がやってきますように・・・。


◇競り勝つための「巻き巻きカツ」/1人分
材料
resipi-120105-2.jpg  ・豚ロース薄切り    6枚
 ・人参         5cmを縦半分
 ・セリ         1/2束
 ・塩・コショウ     適量
 ・小麦粉        適量
 ・卵          1/2個
 ・パン粉        適量
 ・揚げ油        適量(是非新しい油を使ってね)


作り方
 1.人参はやや太めの千切りにしレンジで軽く加熱し、セリは5cmの
   長さに切っておく。
 2.豚肉の脂身を外側に向けて2枚重ね、軽く塩・コショウしたら千切りに
   した人参とセリを手前の端にのせ、緩まないように巻いていく。
 3.豚肉に小麦粉をまぶし余分な粉ははたいて落とす。
 4.卵を絡めたらパン粉を付け、しっかり握ってパン粉を密着させる。
 5.160℃くらいのやや低めの油で揚げ、薄いきつね色になったら一度取り出し、
   余熱で火を通してから油の温度を180℃にして表面をカリッと揚がるように
   するとべたつきが少ない。
 * 古い油だとお腹を壊したりすることがありますので、必ず新しい油で
   揚げてください。


◇置くとパスする「タコ飯」/作りやすい分量
材料
resipi-120105-3.jpg  ・米          2合
 ・タコ         250g
 ・みりん        大さじ1
 ・日本酒        大さじ1
 ・塩          小さじ1/2
 ・砂糖         小さじ1/2
 ・薄口醤油       小さじ2〜大さじ1
 ・ショウガ       1片(極細千切り)
 ・昆布だし汁      300cc

下準備
 * タコは水でよく洗い、削ぎ切りにしておく。
 * 昆布だし汁を取り、ショウガ以外の調味料を全て入れ軽く沸騰したら、
   削ぎ切りにしたタコを加えてひと煮立ちさせ、火を止めそのまま汁ごと
   冷ましておく。
 * ショウガを千切りにして軽く水に晒しておく。

作り方
 1.米を研いだら冷ましておいたタコの煮汁を加え、2合の目盛りに
   足りなければ水を足して塩で味を整え(分量外)、30分〜1時間ほど
   浸水させてから普通に炊飯する。
 2.炊き上がったら煮ておいたタコを満遍なくのせ、10分蒸らす。
 3.ショウガの千切りを加えて全体をふんわり混ぜ合わせれば出来上がり。
 * 写真では出汁巻き玉子を入れていますが、お好みで彩りのよいものを入れて
   あげてください。


 【みやぎのせり】
みやぎの年末年始には欠かせない野菜といったら何と言っても「せり」ではないでしょうか。お雑煮はもちろんのこと、我が家では茶碗蒸しにも必ず加える、なくてはならない冬の味覚です。

その歴史は古く江戸時代初期にはすでに栽培が始まったそうですが、種子の出来にくい「せり」の栽培技術を確立したのは画期的だったようです。
多くは水田での栽培のため、寒い季節の収穫作業は本当に身を切るような冷たさの中行われます。スーパーなどで見かけた際には、そんな努力によって店頭に並んでいることを思い出していただけたら、生産者のみなさんも報われることでしょう。

春の七草のひとつでもある「せり」にはカロテン、ビタミンCが比較的多く含まれ、神経痛に効果があるとされています。(小学館 食材図典より)
みやぎの主な産地は名取市、石巻市、仙台市などとなっています。
密集して競り合うように育つことから「せり」の名がついたとも言われていますので、正に「競り勝つ」にふさわしい野菜といっていいかもしれませんね。


【志津川産のたこ】
resipi-120105-4.jpg 南三陸町志津川は「タコ」の名産地。
「西の明石、東の志津川」と言われるほど有名で、毎年楽しみにしている方も多いことでしょう。
なにしろ三陸に生息するタコはアワビを餌にして育つといいますから、美味しくないはずがない?!のです。

震災の直撃を受けて暫く漁ができずにいましたが、2011年10月24日仮設の市場がオープンし、ついに復活の時を迎えました。
写真は、南三陸町鮮魚店で茹で上げた真だこを冷ましている様子。
噛み応えがあって、噛むほどに甘味が広がる「志津川のタコ」を是非召し上がってください。


【ゆめ多幸鎮/オクトパス君】
resipi-120105-5.jpg オクトパス君とは、タコを表す英語「オクトパス(Octopus)」と、「置くと・(受験がきっと)」「パス(合格する)」を掛け合わせた意味合いを持つ、縁起物の文鎮として2009年に販売が開始されました。

そして東日本大地震により大きな津波被害を受けて工場や販売所/兼無料休憩所の流失。その後有志により結成された「南三陸復興ダコの会」により、「東北復興 ゆめ多幸鎮 オクトパス君」(復興ダコ)として再販売されることになりました。
写真は2011年7月に南三陸町入谷八幡神社に奉納されたオクトパス君です。

受験生のいるご家庭や友人&知人に受験生のいる方へのプレゼントに是非お買い求め頂けたら幸いです。

☆オクトパス君についての詳細はこちら
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【あとがき】
resipi-120105-6.jpg  子供を見守る側としては、子供に代わって勉強するわけにもいかないし、食事の管理や衛生環境を整えることくらいしか出来ないのが正直なところですが、受験間際はひたすら祈っていた気がします。

 滅多に行かない初詣にも行ったし、当然お守りも買いました(笑)
毎朝お天道様を見ては今日も元気に学校に行けますように・・・とか、当日熱出したりしませんように・・・とかそんなことばかり。

 昨年は震災の影響で合格発表が予定より1週間遅れてしまい、更にひたすら祈る毎日でしたから、合格した時の喜びは例えようがありませんでした。
あらゆる物が不足しているときだったので、豪華な料理でお祝いすることはできませんでしたが、本当に嬉しい日となりました。

 しかし安堵したのも束の間、あっという間に大学受験がやってきますよね。
それまで、へこたれない母になれるようもう少し修行しなくては・・・。




西舘 友子

posted by 料理 レシピ at 10:00| みやぎの地産地消