みやぎのサワールージュ調理例(食材王国みやぎ11月の地産地消メニューpart2)
2010年6月に品種登録された『サワールージュ』
昨年の秋はシャーベットやコンポート、そして真っ赤なリンゴがぎっしりと並べられた絶品タルトの美味しさに舌鼓をうったのは記憶に新しいところです。
サワールージュ生みの親である菊地部長に幾度となくお会いしている中で
『サワールージュらしい美味しい料理はないだろうか?!』
『サラダなどの副菜ではなく、おかずになる家庭料理にならないだろうか?!』
日を追うごとの成長をのぞかせて頂きながらそんな宿題を頂いた2011年の春以降。
薄いピンク色の花びらを付けた可愛らしいサワールージュは、震災直後の沈みきった私たちの心を優しく勇気づけてくれたのでした。
りんごのペクチンは、放射性セシウムを効果的に排出する効果があるとの報告もあるようで、 今回は様々に試作した中からお手軽&時短料理のご紹介です。
【鶏手羽先のふっくら煮】
サワールージュとの煮込み料理は、お肉が柔らかくあるのを豚の角煮で確認した2010年、お醤油の風味とりんごの酸味はお肉の油っこさを緩和してくれました。
りんごのペクチンは、放射性セシウムを効果的に排出する効果があるとの報告もあり、今年は一人でも多くの方にりんご料理を味わって頂きたいと考えて、お財布に優しい鶏手羽先に応用してみあした。サワールージュと共に煮込む事10分。フワフワ&トロトロの煮込み料理に仕上がりましたよ(^_^)/
材料(2〜3人分)
* サワールージュ 1個* 鶏手羽先 6〜9本
* 酒 大さじ2杯
* みりん 大さじ2杯
* 醤油 大さじ2杯
* サラダ油 小さじ1杯
下準備
1.サワールージュは8等分の櫛形に切り、皮をむく。2.鶏手羽先は間接から切り離し、裏面に2か所くらい隠し包丁を入れ、
更に皮面に十文字に庖丁をいれておく。
* 切り落とした先端部分はスープなどにご利用下さい。
作り方
@ 鍋にサラダ油を入れ、軽く焼き目がつくように両面を焼きます。A 酒を廻し入れ、更に鍋を廻して酒をまんべんなく馴染ませましょう。
B みりん、しょうゆとサワールージュを入れて蓋をして弱めの中火で10分煮込めば出来上がりです。
【エスカベーシュ】
サワールージュの収穫時期は、例年さんまが旬を迎える時期でもあります。そんな旬の食材同志を組み合わせてエスカベーシュを作ってみました。真っ赤なリンゴの皮をアクセントに見事なコンビネーションに仕上がりましたよ。
【仙台味噌の素味噌焼き】
お味噌に含まれるジコピリン酸は、放射性ヨウ素やセシュウムの排出を促進する働きがあると言われています。
そこで、仙台発信らしく仙台味噌を使って素味噌焼きにしてみました。更に食感と風味を加えるため、『くるみ』を粗ミジン切りにして表面にトッピング。
サワールージュの酸味がマイルドになったうえ、味噌とリンゴの風味が相まって何とも言えない味わいです。
今回のお料理の要となっている素味噌は、2009年10月にご紹介のホタテと茄子の素味噌焼きをアレンジしています。
表面にトッピングした『くるみ』が更なる味わいをプラスしてくれていますよ。
実はこのお味噌、密かに今年の牡蠣の販促用に開発しておいたもの。
ちょっぴりですが、市場に出回り始めた宮城の牡蠣でも是非お試しください。
誰ですか?!
りんごより牡蠣食べたい!!
なんて言っている人は…
作り方を知りたい方はご一報を!
【バーニャカウダ】
そもそもなんで『リンゴをバーニャカウダで???』そんな声が聞こえてきそうですが、バーニャカウダは、ソースさえ出来ていれば手軽に素材の良さをシンプルに味わって頂ける優等生のお料理です。これまでわたし達は、『ヘルシーな和風バーニャカウダ』や『みやぎの地産地消でクリスマス』でご紹介のプンタレッラ、 昨年の11月後半、仙台港地区で行われた「食材王国みやぎフェア2010 in 夢メッセ」で展示されたフェノッキオ(フローレンスフェンネル)など独特の風味ある野菜をバーニャカウダで美味しく味わえる事がわかっていました。
様々にサワールージュ料理の試作を重ねている中で、これは一押し!!というメニューに巡り合ってなかっただけに『バーニャカウダで素材の味わいを更に美味しく!』を試してみました。
けっか〜♪オーライ♪♪
温かいお風呂のようなソースの旨味がサワールージュの酸味にうまく絡んで独特の特徴を引き立ててくれました。
残念ながら今年はサワールージュも紅玉も手に入りませんが、もし来年以降すっぱいリンゴが手に入ったらぜひ味わって頂きたいものです。
【東日本大震災の後に】
これまで幾度となく触れてきた3.11の東日本大震災。
2011年は、この大震災から4.7の大余震を経てGWまで、ほとんど空白のような日々でした。
それでも何とか菊地部長と交わした約束を果たそうとサワールージュ開花の取材に伺った5月6日。大打撃の沿岸部を左に眺め、遠目には被害が少なそうに見える山沿いながら所々通行止めになっていました。
自然の営みは私たち人間界にどんな惨状をもたらそうとも、粛々と営まれており被災地に桜の花が咲いて人々の心を和ませてくれたように、サワールージュの可憐な花びらは私たちの心の栄養となってくれました。
一度止まったエンジンを再稼働させるのは思ったほど簡単な事ではなく、2011年度は銀鮭をはじめとして牡蠣やホタテ、わかめの販促活動を予定していた私たちは、大参事の爪痕を残され、立ち往生の現実でした。
それでも6月から内陸部に残された農産物を地産地消に取り上げ、レシピ掲載を再開できたのはサワールージュの可憐な花びらに元気をもらったから。といっても過言ではありません。
そして、時が過ぎ、超節電を強いられた2011年の夏。
グリーンカーテンがメジャーになっていて、アサガオやゴーヤが家々の南側窓ガラスを覆う姿を極普通に目にするようになりました。
そんな季節を過ごす中、私達は青りんごのグリーンカーテンを体験させて頂きました。真夏の日差しを遮り、清々しい空気と静けさ、甘ずっぱいりんごの香りが漂う贅沢な空間は、一生忘れられないくらいの神秘的な出来事で、真夏日が続く8月18日の事でした。
更に40日が過ぎた9月28日。
真紅に色づいたサワールージュが樹木に連なってぶら下がる実りの季節を迎えました。目の覚めるような鮮やかに赤いリンゴは堂々たる存在感でした。口に含むとこれまた目の覚めるような酸味にりんご独自の甘味が重なってやんちゃでいで、どこか懐かしい味わいを印象づけてくれるのでした。
いよいよみやぎオリジナルリンゴのメニュー開発です。
サワールージュの成長を垣間見てきた4か月の間、様々なメニューを想像し、味をイメージして試作に取り組みました。
ところが、私たち日本人の味覚にすっぱいフルーツを主菜に使う料理の歴史は無く、試作した料理どれも美味しいのですが、家庭料理に落とし込む要素に欠けていたのです。
『無理だよね…』
『すっぱくて甘い加工用リンゴはスウィーツしかないよね!』
半ばあきらめかけていた時、1冊の本に巡り合いました。
拾い読みの中からみつけたキーワードは、残り少ない極わずかなサワールージュで試作&試食&撮影へと導き、満足できる料理へと仕上がっていったのでした。
幸いにも撮影当日は、震災後東北のリンゴで作られたお酒が、スーパーに並び始めた初日でもあり、好きな人にはたまらない、『リンゴカーニバル』のような甘すっぱい味と香りに満たされた1日となったのでした。
※参考文献:今ある放射能を消す食事/金谷節子著・主婦と生活者出版