2011年11月03日

『復活の一番搾りとれたてホップ』

一番搾りとれたてホップ
5倍に楽しむ復活の味わい(食材王国みやぎ11月の地産地消メニュー)

2011年3月11日午後2時46分に発生した東日本大震災。
激しく長い揺れに成すすべも無く、揺れが収まるのをただひたすら待ち続けた恐怖の時間。

そして想像を絶する巨大津波。
あらゆる物を飲み込み、破壊し、濁流となって襲い掛かる写真を目にしたのは、翌日の河北新報の朝刊。

 その紙面には大きなタンクが何本も倒れている工場が・・・。
それが正しく「キリンビール仙台工場」だったのです。

震災から程なくして、2011年9月26日に岩手県遠野産のホップを使って「一番搾りとれたてホップ」の製造を開始すると決め、その日を目指して社員の皆さんが一丸となって復旧に力を注いできました。
仕込み当日には遠野市長も駆けつけ、念願の震災後初の仕込みが行われました。

 そして11月2日「一番搾りとれたてホップ」が仙台工場から北海道・東北・新潟に向け出荷され、11月9日には店頭に並びます。
復興の第一歩ともいえるこのビールを私は心から味わいたい!そう思っています。


「冷めても美味しい鶏の唐揚げ・アレンジバージョン」
 ビールとの相性は今更言うまでもないでしょう!!
今回はソースやつけダレを準備して、さまざまな味わいで楽しめるよう工夫してみました。
これも塩味がメインのシンプルな鶏の唐揚げだからこそのアレンジですね。
まずは「一番搾りとれたてホップ」を味わったらシンプルにから揚げを口に含んで2杯目、三杯目はネギポン酢を付け、次はカレーソース、チリソースと…。
そんな欲張りな楽しみ方が私たちのお勧めです
作り方は2008年3月31日掲載の冷めても美味しい鶏の唐揚げを参照してください。


三種類のソース
「カレーソース」
 ピリッとスパイシーな味わいがたまらない!パンで巻いてソースをたっぷりつけて食べても超美味しいよ!!
 ・カレー粉     小さじ1
 ・マヨネーズ    大さじ1
 ・牛乳       大さじ1
 ・塩        一つまみ
全てを充分に混ぜ合わせればOK。

「ネギポン酢」
 さっぱりといただけて中高年の私にはぴったり!たっぷりのネギがいい仕事をしていますよ。中華料理の油淋鶏に似た味わいが楽しめます。
 ・長ネギ(白い部分)  5cm
ネギをみじん切りにしてポン酢大さじ2〜3に加える。

スイートチリソース
 これをつけると、なぜかエスニックな味わいになって美味しいのです。

写真では2011年6月16日掲載のパプリカピクルスを添えています。
その他に、お好みの野菜を準備して、熱々をさあ召し上がれ!!


【我が家のビール】
resipi-111103-5.jpg  子供の頃、我が家で目にしていたのはなぜかずっと「キリンビール」。
実家周辺にホテルや料亭などはありませんでしたから、冠婚葬祭は全て自宅にお客様を招いてもてなすのが当たり前だったため、子供でもビールやお料理を運ぶお手伝いをしたものです。
 子供の私にはあの大瓶が重たくてしかたなかったけれど、きっとその重さだからこそ記憶にしっかりと残っているんですね。

 お盆の頃だったでしょうか、母の実家に行った時叔父からラベルの麒麟の絵の中に片仮名で「キリン」と書かれていると聞かされて、空き瓶を握り締め真剣に探しましたっけ・・・。
本当に「キリン」の文字が隠されているのか、未だにキリンビールの方に伺ったことはありませんので、真偽の程は分かりませんが時折思い出すエピソードです。


【キリンビール仙台工場】
resipi-111103-3.jpg  仙台工場は1923年に操業を開始。
仙台駅に程近い宮城野区小田原のJR東北本線の両側に連なっていました。その一帯は薄暗く感じて、ちょっと怖かった記憶があります。
仙台工場があった小田原周辺は、仙台駅に比較的近いこともあり急速に宅地化が進んでいきました。交通量なども格段に増え輸送環境が悪化して行ったと言います。更に工場設備も老朽化したため、1983年に仙台市宮城野区港に移転しました。

移転した仙台工場周辺は、近年アウトレットモールやホームセンター、イベント会場などが立ち並び、日々めまぐるしく姿を変えていたエリアでもあります。
何度となく訪れていた場所でしたので、震災翌日の河北新報を目にしたときはあまりのショックで言葉を失いました。


【復活の一番搾りとれたてホップ】
 巨大津波の被害が大きいエリアでは、未だに復興の見通しすら立たないところも数多く、課題が山積していることは承知しています。
しかし、被災したお店が再開したり、さんま漁や鮭漁、震災を免れた牡蠣の水揚が始まったりといったニュースを目にするたびに、一歩ずつ前に進んでいることを感じます。

 そして同じく被災したキリンビール仙台工場から、震災後に仕込んだ「一番搾りとれたてホップ」が間もなく出荷されます。
岩手県遠野産のホップを使って仕込まれるこのビールは、栽培された農家のみなさんをはじめ、復旧に尽力した社員の皆さんや、設備の復旧工事に携わったたくさんの人々の想いや力を結集し出来上がりました。

 この商品は1本につき1円が、東北の農業の震災復興支援に活用される「復興応援・キリン絆プロジェクト」の対象商品となっています。
震災復興支援のためにも、是非季節限定の「一番搾りとれたてホップ」を召し上がって少しでもご協力いただきたいと思います。


【復興支援】
resipi-111103-4.jpg  キリングループでは震災直後からさまざまな復興支援を展開しています。
この「一番搾りとれたてホップ」もそのプロジェクトのひとつですが、今年だけではなく、これからも復興支援を継続していくと言う強いメッセージを発信し続けています。
仙台工場のように地域に根ざした企業が徐々に復興していくことで、仙台はもとより宮城の、そして東北の復興の原動力になってくれたらと願わずにはいられません。


【あとがき】
 震災直後の仙台工場の惨状を思うと、年内の出荷は不可能ではないかと正直思っていました。しかしあらゆる力を結集し見事に復活を果たし姿は、多くの方々に勇気を与えたことでしょう。
今年もまた例年と同ように季節限定のフレッシュなビールが味わえると思うと、ひときわ感慨深いものがあります。
震災前には何気なく飲んでいた「一番搾りとれたてホップ」ですが、いろいろな思いを噛み締めて「復活のビール」を味わいたいと思います。



西舘 友子

posted by 料理 レシピ at 10:00| みやぎの地産地消