定番煮物を「あぶら麩」で旨味UP(食材王国みやぎ10月の地産地消メニュー)
人生の折り返しをず〜っと前に迎え、立派な中高年の世代になってくると体が要求する食べ物が若い時とは違ってくるのを感じます。
そんな欲求に素直に応じて食べているのが『大豆の旨煮』
必要な栄養素をバランス良く摂れて、しかもうまみ成分たっぷりの粗食ながら滋養たっぷりの贅沢な一品です。
手間ひまのかかるお料理ですが、面倒なところは大量にまとめて作り、小分けして冷凍保存しておけば手軽に仕上がるおふくろの味、定番の煮物料理です。
ちょっとずつ毎日でも食べたいお料理ですので、ポイントを押さえて、心豊かな食卓に登場させてみてはいかがでしょうか?!
私のマイブーム(常に冷蔵庫にストックされていた料理)で菜園を眺めながら一人ランチを楽しんだお料理は本日ご紹介の大豆の旨煮の他2点。
○ ナス炒り (8月18日掲載)
○ ゴーヤの佃煮 (7月7日掲載 きゅうりのピリ辛佃煮アレンジバージョン)
【大豆の旨煮】
材料(作りやすい分量)
・冷凍下煮大豆 300g〜400g・あぶら麩 1/2本
・人参 1/2本
・ごぼう 1/2本
・鶏皮 100g
・こんにゃく 1/2個
・乾燥ひじき (がんばろう!石巻) 20g
・出汁醤油 50CC
注意) 市販の出汁醤油はメーカーにより塩分濃度が違います。
味をみながら加減してください。
下準備
@ 鶏皮は軽く茹でて油抜きをし、7〜8oに切りそろえておきましょうA こんにゃくは食べやすい大きさに切りそろえ、耐熱容器又はシリコン
スチーマーなどに適量の水と共に入れて電子レンジで約5分下煮して
水切りしておきます。
B ごぼうは、たわしなどで表面の土をきれいに落とす程度に洗い、食べやすい
大きさの斜め切りに切りそろえて水に浸してあく抜きをしておきます。
C ひじきはたっぷりの水に8〜10分程度浸してもどし、食べやすい長さに
切ってぎっちりしぼっておきましょう。
D にんじんは、皮をむき6等分のいちょう切り、あぶら麩は縦2等分の
半月切りにしておきます。
E 冷凍しておいた煮豆を常温でもどしておきましょう。
作り方
1.鍋を中火にかけ、軽く温め準備しておいた@の鶏皮を乾煎りし、油がじんわり出てきたらAのこんにゃく、Bのごぼうの順に入れて鶏皮から
出てきた油で炒め、鶏皮から出てくる旨味をしっかりこんにゃくと
ごぼうにしみ込ませます。
2.Cのひじき、Dのにんじんを入れて軽く炒め合わせたらEの下煮した大豆を
入れてグツグツ煮立ってくるまで時折鍋をゆすりながら火を通します。
3.凍りついていた冷凍大豆煮に火が通り、完全に温まったら出汁醤油を入れて
5分ほど煮込み、最後に切りそろえておいたあぶら麩を入れて鍋を振り、
あぶら麩に煮汁が浸み込んだら出来上がりです
【大豆の下煮】
材料(作りやすい分量)
・乾燥大豆 300g・浄水(大豆戻し用) 1リットル
・干し椎茸 (小) 10枚くらい
・浄水(干し椎茸戻し用) 4カップ
・出汁醤油 1/2カップ
下準備
@ 大豆を軽く水洗い(すすぐ程度)して一昼夜浸して、もどしておきましょうA 干しシイタケも軽く水洗いして大豆同様一昼夜浸してもどしておきましょう
B もどした干しシイタケを7〜8ミリの角切りにしておきます。
作り方
1.もどした大豆を軽く水切りして鍋に移し、干しシイタケの戻し汁はお茶パックなどを通して濾しながら大豆がひたひたになるくらい
注ぎ入れます。
2.強めの中火にかけて軽く沸騰させると灰汁が出てきますので2〜3回
丁寧にあくを取り、蓋をして吹きこぼれない程度の弱火にして
25分〜30分大豆が程よい柔らかさになるまで煮ます。
※ 柔らかすぎると食感を楽しめないので程々に!
3.大豆がふっくら煮あがってきたら、準備しておいたシイタケを入れて、
出汁しょうゆをまわし入れ、5分ほど煮込んだら、火を止めてそのまま
常温で冷ますと自然に味がしみ込みます。
おすすめ冷凍保存
○ 大豆にシイタケの旨味がぎっしり詰まった上記煮豆は、そのまま煮豆として召し上がっても美味しいですが、乾燥品をもどす手間(浸し時間)や
ことこと炊き上げる時間がかかる分、とても面倒に感じるかもしれませんが、
その分まとめて大量に下煮して3等分ぐらいに分けて冷凍保存して
おきましょう!!
○ 今回ご紹介のように様々な食材と大豆煮を炊き合わせる時に冷凍品を
一緒に混ぜ合わせて軽く煮込むだけで手軽に煮豆料理が楽しめるので
超便利保存食です。
○ 冷凍する時は、しっかり冷めてからジッパー付きの保存袋に適量の煮豆を
入れて空気を抜き、平らになるように冷凍すると冷凍庫の邪魔にならず
立てて保存できるので便利です
【あぶら麩とは???】
お麩は、小麦粉に含まれるグルテン【タンパク質】を主原料とした加工品で、京都や金沢で有名な生麩、山形県や新潟県、沖縄県の焼き麩と並び、旧仙台藩地域の岩手県やみやぎ県の特産品となっている揚げ麩の3種類に大別されています。
揚げ麩の歴史は明治時代にさかのぼり、宮城県登米地方で夏季に変質しやすい『油揚げ』の変わりに開発されたのが始まり。
汁物や煮物の材料にされるのが一般的でした。
登米地方に伝わる郷土料理『はっと汁』に用いられ、古くからお盆の精進料理として親しまれ続けてきました。我が家でも、結婚当初から夏場の味噌汁や四季を通しての定番煮物に大活躍。
地元みやぎでは『揚げ麩』を『あぶら麩』と呼ばれています。
【あぶら麩丼/B−1グランプリ出場料理】
宮城県登米地方の飲食店で、肉が食べられないお客様にかつ丼や親子丼の代わりとして1980年代に提供されたのがはじまりと言われている地方食。
特製たれのしみ込んだあぶら麩とネギを卵でとじて丼物に仕上げられていて、中央に紅ショウガがのっている姿をよく目にする。
最近では、特製たれ付きのあぶら麩丼セットの形で販売されているのも珍しくはなくなった。 そのあぶら麩丼は、2006年から開始されたB級ご当地グルメの祭典B−1グランプリに開催当初から出展されてすでに5回。
6回目の2011年は兵庫県姫路市で11月に開催するらしい。
まちおこしも兼ね備えたこのイベントは、回を重ねるごとに話題を呼び大盛況だ。
今年はオペレーションを変更してできるだけ多くの方に食べてもらえるように工夫しているそうなので、是非明るい話題で盛り上がりたい。
頑張れみやぎ!頑張れあぶら麩丼!!
【あとがき】
今年は震災後の処理が一段落した頃から大豆煮に凝り始め、たっぷり作っては友人&知人におすそ分けして喜ばれていました。
又、年に数回我が家で開かれる食事会でも好評の大豆煮を食べながら友人がポツリ
『これ、何だかしらないけど美味しいよね』
と箸でつまみ上げられたのが『あぶら麩』でした。
そんな些細な出来事をきっかけに今回のご紹介に至っています。
又、震災の時に私を励まし続け、支援物資を送り届けてくれた金沢の知人に宮城のお米(ひとめぼれ)と仙台麩をセットにしてお礼をさせて頂いた際、『みやぎのお米も最高ならおかずも最高で東北人の芯の強さはここから来るんだね』なんて宮城県人として最高の褒め言葉を頂きました。
そんな『あぶら麩の魅力』をひとりでも多くの方に知って頂きたいものです。