2011年06月30日

きゅうりが美味しい!!/食べるひんやりお吸い物

ひんやりお吸い物
キュウリビズって知ってる???(食材王国みやぎ7月の地産地消応援メニュー)

夏の気配を感じると豊富に手に入る夏野菜の代表格は、なんといっても『きゅうり』
サラダやお漬物が定番ですが、スープにしても食感を楽しめる『きゅうり』を和風出汁のひんやりゼリーと組み合わせてお吸い物仕立てにしてみました。
お吸い物を食べる?!
ちょっぴり面白い味覚で感じるサプライズです。
ひと手間かかる分、事前に作り置きできてご馳走感たっぷり♪
お客様のおもてなしにピッタリです

食材王国みやぎの、この夏のテーマは『キュウリビズ』
『キュウリビズ』とはJA全農ふくしま考案の造語で、暑い夏にキュウリを食べよう!
という食べるクールビズ
器ごとチルドルームでキンキンに冷やして召し上がれ。
ひんやりのど越しとシャリシャリきゅうりの食感をお楽しみ頂けます。


材料(3人分)
 ○ きゅうり(長め)    1.5本
 ○ えび          3尾
 ○ 片栗粉         少々
 ○ 合わせ出汁       500CC
 ○ 粉ゼラチン       5g(1袋)
 ○ 酒           大さじ1杯
 ○ 旨塩          小さじ1/2杯
 ○ うすくち醤油      大さじ1杯
 ※ 盛り付け用針しょうが   少々
 ※ 冷たいお吸い物は暖かいものより味を感じにくいので濃いめに味付けされています。お好みや体調にあわせてお塩や薄口しょうゆの量を加減してください。
準備
 @ 旨味出汁ゼリーを前日に準備しておきましょう。
   -1 合わせ出汁を加熱して、沸騰寸前で分量の酒、旨塩を加え、
     火を止めてからうすくち醤油を加えて旨味出し汁を作る。
   -2 粉ゼラチンに上記-1の旨味だし汁を大さじ2杯入れてよく混ぜ溶かし、
     さらにおたま1杯分の旨味だし汁を加えてよく混ぜ合わせたものを
     残りの旨味だし汁に入れて軽くかき混ぜる。
   -3 粗熱がとれるまでそのままにして冷まし、蓋付き容器に移して
     冷蔵庫で冷やし固める。

作り方
 1.きゅうりはじゃばらに包丁を入れ、1p強に切りそろえ、
   ひとつまみの塩(分量外)を振って下味をつけておきます。
 2.えびは背開きにして背ワタを取り、片栗粉をまぶしてよく水洗いしてから
   キッチンペーパーなどで水分を除き塩&コショウしてから酒少々を振り
   10分ほどそのままなじませる。
 3.ボールに氷水を張り、一方で小さめの鍋に湯を沸かし上記2に片栗粉を
   まぶして軽く茹で上げ氷水に取り上げる。
 4.針しょうがをつくり、氷水に晒す。
 5.器を冷凍庫で冷やしておきましょう。

盛り付け
 ※ 冷やした器に固めた出汁ゼリーを大きめのスプーンで2杯程度入れ、
   きゅうりとえび1尾を彩りよく盛り付けたら更に出汁ゼリーを2杯程
   隙間を埋めるように入れ、天盛りに針しょうがを盛り付けて出来上がり。
 ※ 食べる寸前までチルドルームで器ごと冷やしておくとよりおいしく頂けます。


キュウリビズとは?!
resipi-110630-2.jpg 2006年夏秋きゅうりの出荷量日本一を誇るJA全農福島により考案された造語で、『暑い夏にはキュウリビズ』のキャッチフレーズと共に販売促進された。
翌年の2007年3月には商標登録され、宮城県や秋田県に広がり、更に2008年には東北6県が同一キャンペーンを実施して消費拡大に貢献。
きゅうりは、夏野菜の代名詞ともいえる極身近な存在で、体を冷やす効果が大きく、95%の水分とビタミンCやカリウムを多く含みます。
今年のように消費電力削減を迫られ、エアコンが使いにくい環境下ではたっぷり食べる事で体の内熱を抑制し、水分を補い、取りすぎた塩分を排出してくれるとても頼もしい野菜なんですよね。暑い毎日だからこそたくさん食べて効果的に食べるクールビズを実施したいものです。


【みやぎのきゅうり】
resipi-110630-3.jpg 『きゅうり』は、果菜類のなかでも生産量は多く、みやぎ県でも重点振興品目に指定され様々な地域で積極的に生産されています。中でも登米市、石巻市、名取市での生産量は多く、各地に点在する道の駅や直売所、スーパーの一角に設けられている直売コーナーでも『みやぎ県産きゅうり』はよくみかけます。
きゅうりの加工品も身近で、塩漬けや味噌漬け、糠漬けなどの浅漬けや古漬けなどのお漬物お定番として販売されていて、小さなお子さんからお年寄りまで口にしたことが無い人はいないほど誰もが自然に口に運ぶとても身近な夏野菜です。
 宮城県では、3月から12月までハウス栽培や露地栽培などが行われ、季節を感じられないほど地場のきゅうりが出回っています。
初夏を迎える頃になると積極的に取り組まれる家庭菜園でも定番のように育てられる野菜で、我が家の小さな菜園でも所狭しと成長してくれる頼もしい夏野菜です。


◇館腰ハウス組合 長田組合長さんのキュウリハウを訪ねました
resipi-110630-5.jpg 今回は、当サイトの地産地消コーナー立ち上げ以前から、みやぎの食材について一緒に考え、時に行動を共にさせて頂いた関口さんに同行して頂き、JA名取岩沼の佐竹理事にご紹介頂いて 館腰ハウス組合長 長田さんのきゅうりハウスに伺いました。
伺ったのは、6月の最終土曜日で、ハウス栽培はすでに終盤をむかえていました。
2月から収穫されていた長田さんのハウスのきゅうりは、3.11の東日本大震災をたくましく生き延び、今もなお食味の良い果菜が実っていました。
 長田さんが育てるきゅうりは、お父さんの代からハウス栽培が行われ、30年目も続いているそうです。これだけの長い間、ハウスでキュウリをつくり続けられるのは,土を大切にしている証なんですよ!とこっそり関口さんが耳打ちしてくれました。土づくりの為に本当は、堆肥などの有機質の肥料を入れたいそうですが,近年は近郊の酪農家がいなくなり,畜産堆肥の入手が困難なため、バーク堆肥(木の皮を発酵させた堆肥)や籾殻を入れれて「土づくり」を行っているそうです。
今回、私たちがおじゃましたハウスのきゅうりは,昨年11月末〜12月初旬に種まきし,ハウスに定植されたのが12月末。世の中、クリスマスのお祝いムードに染まっている頃、子供さんたちに手伝ってもらいながら定植の作業を行ったそうです。
来年にむけた土つくりに入る直前ともなれば、葉は枯れ、実もいびつになるのが普通ですが、長田さんのきゅうりは、皮も柔らかくしっかりした食味が特徴のきゅうりらしいきゅうりの味がしていました。


◇3.11大震災ののちに
resipi-110630-4.jpg 宮城県に大きな被害をもたらした津波は、長田さんのハウス近くの河向こうまで来ていました。
幸いにも津波被害から逃れた長田さんのきゅうりハウスでは、震災時、すでに収穫がはじまっていて、停電により電気が止まっても、発電機を確保して暖房を炊いたり,電動で開閉するハウスの窓を開閉して温度調節をするなどして,きゅうり達は守られたのでした。
流通経路が閉ざされ、市場出荷できない間は、避難所生活を余儀なくされている多くの被災者にキュウリが届けられました。
こうして震災の影響を様々に乗り越えながらも価格は毎年の1/2までも落ちた時期があったそうです。
同じ名取市でも津波被害の甚大な下増田やお隣の岩沼市では,現在でもボランティアの方々にハウスに入った泥だしをお手伝い頂いているそうですよ。


【あとがき】
resipi-110630-6.jpg  今回私は、佐竹さん&関口さんのお力添えを頂きながら震災後初めて現地取材をさせて頂きました。
お聞きしたお話の大半が震災の事でしたが、農産物に詳しい関口さんは端的に要領を得て質問していました。
そういえば、震災直後停電にも関わらず、近くのスーパーには元気一杯の新鮮な宮城県産キュウリが並んでいて、サラダや即席漬けにして白ごはんのおかずにしていたのを思い出します。
ぼた雪がシンシンと降り積もり、身も心も凍りつく寒さからキュウリだけじゃなく農作物全般を守り、育ててくださる長田さん達のような生産者の方々の想像以上のご苦労があってこその食卓だった事に改めて感謝した次第です。
震災後、初の取材に『きゅうり』を取り上げた事で、お隣の福島県が夏秋きゅうりの出荷日本一だった事や5年も前からキュウリビズを提唱し、商標登録されている事などを知りました。
東京電力福島原発による放射能汚染は目に見えないだけに非常に恐ろしい事ですが、宮城県にも女川原発があり、明日は我が身かと思うと福島県の風評被害は他人事ではありません。市場に出回る作物はきちんと放射線量が計測され、安全なものしか出回らないはずですし、今回の震災により大きなダメージを受け、従来以上の手間暇をかけて何とか立て直そうと懸命に農作物を市場に届ける方たちのご苦労は、感じるに余りあるところです。
福島、宮城、岩手の被災地をキュウリを美味しくたくさん食べてキュウリビズしながら応援して頂けたら幸いです。



佐藤 綾子

posted by 料理 レシピ at 22:44| みやぎの地産地消