2011年の恵方は南南東
今ではすっかり節分の風物詩となった恵方巻きですが、その存在を知ったのは20年程前、当時名古屋在住で100歳になる双子の姉妹「きんさん・ぎんさん」が話題になったときのことでした。
密着取材をしていた節分の風景の中で「巻き寿司を丸ごと一本、恵方を向いてひたすら無言で食べきる」と言う私にとっては衝撃的な内容が放映され、驚きと共にずっと頭に残っていたのです。
その後大手コンビニチェーンで販売されるやいなや、瞬く間に全国区となりコンビニはもちろん、デパ地下やスーパーの人気商品となりました。
恵方巻きの風習など全くなかったみやぎでも、今や「恵方巻き」無くして節分は語れないほど大事なアイテムとなっています。
しかしながら本来の「丸ごと一本を無言で食べきる」と言う約束からすると、正直どんなに大きく開けても口に入らないような、太くて豪華な恵方巻きを見かけるたびに、「これで丸ごと一本食べきれるの???」と疑問に思ってしまいます。
やはり誰でも食べやすく、特に小さなお子さんや、ご年配の方が喉に詰まらせることなく安心して食べきることができるのは細巻きだと常々思っていたので、今年はかわいらしい細巻きに決定!
子供の頃よく食べていた「海苔巻き」が蘇るような具材です。
今年一年、健康に過ごせるよう願いを込めて・・・。
材料(細巻き6本程度)
出来上がりの直径は3cmほどなので、お子さんでも安心ですよ!!○酢飯 540g(細巻き一本あたり90gが目安です)
○干しシイタケ 3〜4枚
(戻し汁 100cc 日本酒 小さじ2 みりん 小さじ2 砂糖 大さじ1 だし醤油 小さじ2〜3)
○人参 5cm
(日本酒 小さじ1 みりん 小さじ1 塩 一つまみ 薄口醤油 小さじ1/2)
○ほうれん草 1/2束
(白だし 小さじ1/2〜1)
○卵 1個
(砂糖 小さじ1 塩 一つまみ)
○生鱈 一切れ
(昆布だし 50cc 日本酒 大さじ1 グレナデンシロップ 大さじ1)
○焼き海苔 3枚
準備
* 戻しておいたしシイタケは石づきを取って太目の千切りにし、全ての調味料を加えた戻し汁で水気がなくなるまで煮て冷ましておく。
焦がさないように気をつけて!
* 人参はやや太めの千切りにし、ひたひたの水と日本酒、みりんを加え歯
ごたえが残る程度に加熱し、塩と薄口醤油で味を整えそのまま冷ましておく。
* ほうれん草は茹でて水気をしっかり絞ったら、3〜4cmに切って白だしを
振りかける。
* 卵は砂糖と塩を加え、焼いておく。
* 鱈は2009年2月26日掲載のちらし寿司と蛤のお吸い物を参照して、ピンクの
でんぶを作っておく。
(鯛でなくても同じように作れますので、お試しください)
作り方
1.半分に折った焼き海苔を巻き簾に乗せ、酢飯90gをのりしろ1cmくらい残し満遍なく広げる。
2.そこに卵、水気を切った人参、ほうれん草、でんぶ、シイタケを彩り
よく並べ(欲張ってたくさん具を入れるときれいに巻けなくなるので、
控えめにしてください。)巻き簾を使ってのりしろ目掛けて一気に巻いて
いく。
3.ちょうど直径3cmくらいに仕上がります。誰でも食べやすい太さで安心
でしょ!!
【これまでご紹介の恵方巻き】
食スペレシピ掲載もおかげさまで4年目となりました。
季節の歳時は当然ながら毎年やってきて、恵方巻きだけでも4回目のご紹介です。
こうしてこれまでご紹介してきた内容を並べてみると、並ぶ数だけ歩んできた道のりを振り返る楽しみが増してきます。
そんな楽しみがいつまでも続きますようにと願わずにはいられません。
2008年の恵方巻き(恵方は南南東) 2009年の恵方巻き(恵方は東北東)
2010年恵方巻き(恵方は西南西)
【あとがき】
近頃では恵方巻きの季節になると、具材の一つとして欠かせない「きゅうり」が品薄になることもあるなど、その盛り上がりには本当に驚くばかり・・・。
確かに豪華な恵方巻きにも憧れるけど、マグロやイクラやサーモンなどなど、メタボ三昧なお寿司になっていくようで一抹の不安も感じます。
今回の細巻きは謂れのような7つの食材は使っていませんが、一本を食べ進むごとにいくつもの味の変化が楽しめるように工夫して5つの食材をを入れました。
「でんぶ」は小学校か中学校の家庭科で作って以来、思い出しては作りたくなる懐かしの味わいです。
マグロやいくらなどの豪華な食材はなくても、みやぎで作られたお米はもちろん、滋味深い野菜をはじめ、ひとつひとつ異なる味わいを盛り込んだ手作りならではの美味しさです。
ぜひ手作り恵方巻きで幸せな一年をお過ごしください。