
母から語り継がれた「ぼたもち」と「おはぎ」について
私が子供の頃には「御萩・おはぎ」と言う呼び方はほとんど聞いたことがありませんでした。地域的なことなのか定かではありませんが、春でも秋でも「牡丹餅・ぼたもち」だった気がします。
田舎の我が家は近所にほとんど店が無く、しかも車が無かったため気軽に買い物にも行けず、必然的に行事の食事はもちろん、おやつや調味料などほとんどが手作りでした。
そのせいか、門前の小僧の如くいつしか手作りがあたりまえになっていったようです。
いつも祖母や母の傍らでつまみ食いをしつつ、叱られながらも作業を見ているのがとても好きでした。次々と作られていく「牡丹餅」は、子供ながらに「食べきれるの?」と思うほどボリューム満点!
よほどお腹一杯食べさせたかったのか、米農家の我が家ではビッグサイズが当たり前でしたっけ・・・。
近頃は牡丹餅にも使われる「小豆餡」をおうちで作ることも少なくなっていると思いますが、煮豆とちがって「粒あん」ならそんなに時間もかからないし難しくないので、若いママさんもぜひチャレンジして下さいね。
春の彼岸ももうすぐです。
この機会に手作りの牡丹餅をお供えしてみてはいかがでしょうか?
材料(作りやすい分量)
・もち米 3合・小豆あん 適量(作り方は下記参照)
・黄粉 大さじ3
・黒摺りゴマ 大さじ3
・上白糖 大さじ2
・塩 少々
準備
*もち米は充分に磨いでから、できれば一晩水につけておく(急ぐ時はぬるま湯につけて、2時間くらいは置くこと)
*黄粉と黒ゴマそれぞれに大さじ1の上白糖と塩少々を加え、充分に混ぜておく
作り方
1.充分に水を吸わせたもち米をザルにあけ、水気を切ってから耐熱容器に入れ、500Wの電子レンジで15〜20分加熱する(時間はレンジのワット数で
異なりますので、様子を見ながら行ってください)
2.熱いうちにすりこ木や麺棒などでつぶす
(つぶし具合はお好みで加減してください)
3.お好みの状態になったら、手に水を付けながら一口大〜二口大にちぎり、
俵型に形を整えバットなどに並べておく
4.小豆あんをつける時は、濡れ布巾(さらしなど表面の凹凸の少ないもの)を
きつく絞り、その上にあんを広げ、形を整えたお餅を乗せて布巾ごと
握って形を整えるとよい
5.黄粉や黒ゴマはそれぞれ器の中で満遍なくまぶせばOK
6.ちょっと渋めのお茶を入れて召し上がれ
*何と言っても出来たてが美味しいですよ!
*お餅が食べきれない時は、成形してから冷凍して置けば解凍して
すぐ食べられます。(解凍したらすぐ食べること。また再冷凍はしないこと)
小豆の粒あん
材料(作りやすい分量)
・小豆 300g・中ザラ糖 200g
・塩 小さじ1/4
作り方
1.小豆はざっと洗ってから鍋に入れ、3倍くらいの水を加えて強火にかける。沸騰したらザルにあけゆで汁を捨てて鍋に戻し、小豆がかぶるくらいの水を
加えて強火にかけ、沸騰したら弱火でコトコト煮て行く(ゆでこぼすことで
灰汁が抜けるので、面倒でも必ず行うこと)
2.小豆が空気に触れないように途中で水を足しながら、煮崩れそうに
軟らかくなるまで煮る
3.ゆで汁が鍋底に残っている状態で中ザラ糖を加え、弱火にかけ煮汁が
少なくなるまで煮る
4.煮詰まってきたら、木ベラなどで混ぜながら煮上げて行く。煮汁が少なくなると
あっという間に焦げてしまうので、鍋から離れず仕上げていくこと
5.水分を飛ばしすぎると滑らかさが無くなってしまうので、軟らかめで
止めたほうが牡丹餅には使いやすい
6.塩を加え全体をよく混ぜたら火を止め、バットなどにあけて手早く冷ます。
冷蔵庫で3〜4日保存可能
7.冷凍保存ができるので、使う分を残したら小分けにして冷凍しておくと
手軽に使える(1ヶ月以内に使いましょう)
解凍したら2〜3日で食べきること
*中ザラ糖を使うことで濃くが出て、加える糖分が少なめでも充分甘みを感じ、
小豆の香りを充分に味わえます。
『牡丹餅と御萩』について
「棚から牡丹餅」などのようにことわざにも度々登場するこのお菓子は、四季によって呼び名が異なる珍しいお菓子です。【春】
牡丹の咲く頃、つまり春彼岸に神仏や祖先への供物とされた小豆餡を、牡丹の花にたとえたところから「牡丹餅」と呼ばれます。
【夏】
「夜船」。お餅のようにぺったんぺったん搗いたりしないで出来上がるため、いつ搗いたかわからない→夜の船も暗くていつ着いたかわからないことからこの名がつきました。
【秋】
みなさんもご存知の「御萩」です。牡丹餅と同様に、小豆餡を秋彼岸の頃に咲く萩の花に見立てたことからこの名がつきました。
【冬】
「北窓」。こちらは夏の夜船と同様に北の窓からは「月が見えない、月がない」→搗いているのが見えない、搗きがないことからこの名前になったそうです。
季節によってそれぞれ呼び名を変えていたなんて、日本人はなんとも風流でしたね。
近頃では「御萩」の名前で一年中販売されていることが多いようですが、そんな粋な時代を思いつつ、次の世代に伝える為にも、時には伝統的なお菓子にもチャレンジしていただけたらうれしいです。
