
食材王国みやぎ10月の地産地消応援メニュー
紅葉だよりがきかれはじめました。いよいよ実りの秋本番。
旬の秋鮭とはらこ(イクラ)をたっぷり使った、全国に誇れる宮城の郷土料理はらこ飯を作ってみませんか?
はらこ飯はもともと亘理地方の郷土料理。それぞれの家庭によって色々な炊き方や盛り付け方がありますが、鮭の煮汁で炊き上げたご飯に、鮭の身とはらこをたっぷりのせて、秋の味と香りを存分に味わいましょう。
はらこは1本求めましょう。赤みの強いものよりはサーモンピンクのものが皮が柔らかですよ。1本分作っておけば、イクラ丼、イクラおろしにと2度、3度楽しめます♪
これから、どんどんお求め易い価格になってきます。塩味にして冷凍しておけばお正月のお雑煮に、なますにと大活躍間違いなしです。
今回は、鮭のアラを使った温かいアラ汁を添えてみました。
日増しに寒くなっていく秋の夜長、食卓についた家族の笑顔が浮かんできますね♪♪
材料(2〜3人分)

※新米ならうるち米のみ
・生鮭 2切れ
・酒 40cc
・醤油 20cc
・薄口醤油 20cc
・みりん 20cc
・砂糖 小2
・水 70cc
・はらこ(醤油味)60g
・ゆず 少々
下準備
<はらこを作る・・・作りやすい分量>・生のはらこ 1本(200g)
・酒、醤油、みりん 各大さじ2
・湯(45℃位) 塩少々
<はらこのほぐし方と味付け>

@味付けボールに水を入れて塩少々入れて丁寧に洗う。
A@を捨てて、45℃位のお湯を入れる。この中にはらこを入れて、はしや指先で
静かにほぐす。バラバラになってくる。ザルにあげる。
Bザルごと大きめのボールに水を張り、この中でよく洗う。水気をよく切っておく。
Cつけ汁を作る。
酒とみりんを鍋に入れて火にかけ、アルコールに火をつけて燃やし切ると
酒臭さが取れる。ここに醤油を加えてさっとあたためて火を止める。
冷ましてからはらこをつけて2時間以上おく。
作り方
1.うるち米ともち米をあわせてあらっておく。2.鮭の切り身に塩少々振る、水分が出てきたらキッチンペーパーで静かに拭き取る。
一口位のそぎ切りにする。
3.鍋に、水、酒、醤油、みりんと砂糖を入れて火にかけ、煮立ってきたら鮭を
入れて、くっつかないように中火で5分くらい(鮭にやっと火が通るくらい)
煮て、皿に取り出しておく。煮汁を少し鮭の身にかけておく。
残りの煮汁は冷ましておく。
4.炊飯器に米と煮汁を入れて普通のご飯の加減で炊く。 ご飯が
炊き上がったら、煮ておいた鮭の切り身をのせて7〜8分蒸らす。
5.上に飾る鮭を皿に取り、さっくりと上下を返すように混ぜて器に盛る。
鮭と汁気を切ったはらこを彩りよく飾って、あればゆずの千切りを散らす。
※もち米を一割位入れるとふっくら仕上がりますが、新米ならうるち米だけで
十分です。
※鮭の身は火を通しすぎるとパサパサするので煮すぎない事。
※子供さんがいらっしゃる方は、煮る前に皮や骨を除くといいでしょう。
※はらこのつけ汁はめんつゆにお酒を少々加えてふりかけてもいいでしょう。
また、生鮭の煮汁だけでご飯を炊き、市販の調理済みのはらこを
のせるだけでも十分です。
宮城県とはらこ飯
宮城の秋の味覚といえば、「はらこ飯」。鮭の旬である10月から11月半ばまで作られる亘理地方の郷土料理です。鮭の煮汁を加えて炊き上げた味付けご飯の上に鮭の切り身とはらこ(イクラ)をのせた秋を代表する珍味です。今年もはらこが出回り始めましたのでもう、味わった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
はらこ飯の歴史をひも解いてみると、阿武隈川の河口の亘理町荒浜では、鮭の地引網漁が盛んで、大漁の時に漁師が地域の住民に振舞ったのがはらこ飯と言われています。
また、江戸時代に、仙台藩主伊達正宗公が貞山堀の工事の臨検の際に、亘理藩の荒浜の漁民がはらこ飯を献上したのがはじまりとも言われています。正宗公は、その美味しさに殊のほか喜ばれて、側近に吹聴したのが、現在、宮城の秋を代表する味として珍重されるに至ったはじめと伝えられています。
現在でも、荒浜の漁家では、豊漁と安全を祈願して、地元の川口神社に毎年10月20日、はらこ飯を奉納し、縁起物として、また、季節の味として広く地域に定着しています。
県内では、亘理町のほかに、石巻市(旧河北町)や南三陸町(旧志津川町)、気仙沼地方などでも、サケ漁が行なわれ、はらこ飯が作られています。
鮭はこんな さかな・・・
秋になると一斉に川をのぼってくる鮭は、川の上流で孵化した5cmほどの小魚がそのまま海に下り、北太平洋などで3〜4年過ごし、成魚になって、生まれ故郷の川に産卵のために戻ってくるので、母川回帰といいます(80%の鮭が母川に戻る)。
鮭は、昔から人間が、冬を越すための貴重な蛋白源としての食材で、大変なご馳走でした。人々は鮭が、ある年に突然のぼって来なくなるという不安を抱き、自然に感謝しながら必要な分だけを採り、神に感謝して大切に食べるという風習が生まれたといわれています。今でも、年末に、塩漬けして干した新巻鮭を「歳取り魚(としとりざかな)」として特別な意味を持っているのも昔の風習の名残と言えるでしょう。
現在では、200海里漁業規制により、稚魚を放流し戻って来た鮭を捕獲するという育てる漁業への変換がはかられました。これにより、鮭は、漁獲量も安定し、「最も良く食べる魚」、「なじみのある魚」、「好きな魚」になっています。主な漁場は北海道ですが、県内では阿武隈川、北上川などに溯上してきます。
鮭の種類はたくさんありますが、店頭に並ぶ主な鮭の種類は
1.白鮭・・ 国内で最も多く採れる鮭。一般的に鮭と呼ばれます。
○鮭児・・まぼろしの鮭といわれ、小型ですが脂がのっています。
普通の白鮭の数千匹に一匹の割合という超貴重品。
一般の白鮭の10倍以上の値段で取引されます。
○時知らず・・・春から夏にかけて採れるので時知らずといわれます。
身肉に脂があるので美味しい。
○秋味・・秋に出回る最も一般的な鮭。
2.銀鮭・・養殖もの。サクラマスに良く似ている。
3.紅鮭・・身の色の赤身が強く見た目の美しさで喜ばれます。
塩鮭には最高の魚でコクのある旨みと甘味があります。
鮭とはらこのおいしい栄養
はらこは鮮やかなオレンジ色で、見た瞬間から「美味しいそー」と思わせるほどの魅力的な食材でその美味しさはよく知られていますが、栄養的にも素晴らしいんです。魚卵は命の発生の母体になるもので、各種の栄養成分がバランスよく凝縮されています。中でも注目されるのは、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)です。これらの脂質は動脈硬化、高血圧などの生活習慣病予防に効果的であることが良く知られています。美味しさとともに機能性の高い脂質が含まれている大変魅力的な食材です。 また、鮭やイクラの赤い色は、アスタキサンチンと呼ばれる色素が含まれています。抗酸化作用が大変強く、体内に取り込まれると動脈硬化やガンなどを引き起こすと言われている活性化酸素の攻撃から体を守ってくれます。サンマやサバ、イワシなどの青魚同様、旬の季節には是非食卓にのせたい食材です。
鮭をおいしく頂くための調理のポイント
鮭には川魚独特のにおいがあるので、「塩をふって少しおくと水分がでてくるので、キッチンペーパーなどでくさみも一緒に拭いてしまう」「燻製にして香りつけてしまう」「ゆずやかぼす、レモン等の香りと酸味でくさみを消してしまう」のが美味しくいただくポイントです。
頂き方は生食では、刺身やすし、ルイベ(半解凍状態の刺身)氷頭(ひず:鮭の頭の軟骨)なますなど。鮭と豆腐、秋野菜などを味噌と酒かすなどで煮込んだ「石狩鍋」や鉄板に鮭の切り身をど〜んとのせて、回りにキャベツやねぎ、もやしなどを並べて焼き、甘辛味噌を塗って頂く「ちゃんちゃん焼き」はこの季節のアウトドア料理にはピッタリです。
長期保存には、塩をまぶして干した新巻鮭や燻製したスモークサーモンや鮭とば、はらわたを塩辛にしためふんに、頭は中骨などはアラ汁にと鮭は捨てるところが無く、丸々私たちのお腹を満たしてくれるありがたい食材です。
「鮭やイクラは北海道」という固定観念を持っている方も多いと思いますが、宮城の「はらこ飯」は鮭とイクラの美味しいハーモニーがみちのくの秋を奏でる1品です。JR仙台駅の駅弁ランキングではうに、かき、牛タンに次ぎ第4位。旅行者にも人気の駅弁です。 10月入り、今年も、阿武隈川や北上川に、故郷の川を決して忘れない「律儀な鮭たち」が帰ってきます。今年はあなたも、みやぎの伝統的な郷土料理「はらこ飯」づくりに挑戦してみませんか?