
伊達家の古典料理〜伝承料理を現代の食卓へ〜
「少しも料理心なきはつたなき心」(料理の心得がない者は愚かである)との名言を残したといわれる伊達政宗公。仙台藩に伝わる郷土古典料理の再興を志して発足した「古典料理研究会」において調理の統括を担当なさった仙台の古典料理研究家の佐藤敬三氏のお料理と私が出会ったのは2004年4月。スローフード宮城の食談会でのことでした。
享保18年(1773年)に橘川川房常が著した料理集の中から再現した酒菜・汁・肴・飯・菓子の20品目にも及ぶ江戸時代伊達家の古典料理を頂いたときの新たなおいしさの発見は、私に五感を通して歴史と食文化の理解を深めたいという思いを抱かせてくれました。
人々が知恵をしぼって味や食感に変化をつけ生み出した料理に触れ、私はその調理法を現代の食卓にも取り入れてみたいと思い、端午の節句の食卓にお刺し身代わりとして鯛の小付け鱠(煎り酒添え)をのせてみました。
皆様もお試しください。
材料(4人分)
・真鯛(1尾を三枚おろしにし、さく取りをしたもの)・鱈子 2腹(無着色のもの)
作り方
1.さく取りをした真鯛をそぎ身づくりにする2.たらこのはらをさき、身をとり出し、湯煎にかけながら粒子状にほぐれるまで加熱する
3.Aが冷めたら@にまぶす
※本来は鯛の子をまぶす1品なのですが、手に入りやすい鱈子で代用しました。
鱈子のほどよい塩分でおいしく頂けます。
○煎り酒
※煎り酒とは酒を沸かし鰹節、梅干しを加えて煮出して煮詰め、酸味、塩分、
旨みを引き出した液。醤油が一般に普及する江戸中期以前には煎り酒を
用いたと伝えられています。